第二章 腐女子と初めてのデート

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ーマリモ出版ーff9605ed-b01b-46b5-a632-dcdf28d01f51 「すっごい可愛い子で、年は二十歳。大金持ちのお嬢様ですよ! それに、僕に一目惚れだそうです!」 優介は、鼻高々に告げた。 「うっそだあ~」 そう、声をあげたのは、営業部長の近藤信子だ。 営業部長と言っても、総務・経理を兼務し、雑務全般を担っている。 見たところ、ただの小柄で小太りなおばちゃんである。 「近藤部長も、そろそろお見合いでもして、旦那さんを見つけたらどうですか?」 営業部員の新庄正臣が、掛けている黒縁メガネを押さえて、神経質そうに言った。 マリモ出版の営業業務のほぼすべては、信子ではなく新庄が一人で支えていると言っても過言ではない。 「あー! 新庄君、セクハラ~!」 信子が叫んだ。 信子は、アラフィフの独身なのだ。 そこへ、トイレから、ひょろりとした副編集長の副島(そえじま) 賢が出て来た。 副島は、このマリモ出版を支えている優秀な副編集長だ。 編集長の永井がいい加減な分、副島がしっかりしている。
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