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優介の気持ちに一切、気付いていない速川が、紀里谷に言った。
「そうですか。それではよろしくお願い致します。私は、綾乃お嬢さまお付きの秘書の速川と申します」
と、スーツ内ポケットから、あの名刺を出した。
それを、紀里谷に渡した。
紀里谷は、その名刺を受け取って、見て言った。
「速川……快さんですか?」
「はい」
速川がそう答えた、その時、リムジンのドアが急に開き、綾乃さんが慌てて出て来た。
綾乃さんは、ドアのところで躓いて、顔面から地面に落ちそうになった。
「きゃーーー!!!」
それを、速川が素早く、綾乃さんの体ごと受け止めた。
「おおっ! 素早い対応! さすが、『快速』!」
紀里谷が、笑って言った。
「快速?」
速川が、怪訝そうに言った。
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