32人が本棚に入れています
本棚に追加
ー速川 快ー
「円城寺綾乃と申します」
と、何故か、綾乃さんの隣にいた男が答えた。
そうなのだ。
綾乃さんの隣には、仲人なのか、二十代後半くらいの、背の高い銀縁眼鏡を掛けた七三分けの男がいた。
「あの……あなたは?」
優介は訊いた。
「私は、綾乃お嬢さまのお付きの秘書の、速川と申します」
そう、銀縁眼鏡を押さえながら、速川が言った。
お付きの秘書?!
そんなもんがいるなんて、綾乃さんは、何者なのだ?
速川は、スーツの内ポケットから、名刺を出して、優介に渡した。
「どうぞ、お納めください」
そこには、『円城寺グループ 特別秘書 速川快(ハヤカワ カイ)』とあった。
その時、「失礼いたします」という中年女性の声と共に、部屋の襖が開いた。
ここは、高級料亭の個室なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!