第二話「その白を汚してもいいかい」

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「祝井くんて、付き合うたことあるの? いや、コウ以外とで」  帰りに購買で買った、キヌチョコパンをスプーンですくって口にはこび、友達が言う。わたしはピーチティーを口にした。「あるらしいけど」 「経験があるかは知らないけど、少し、付き合ったことはあるって言ってた」 「前の女、どんな子やったんやろねぇ」 「中一のとき、同じクラスやった子らしい。春に別れて、それからフリーで、こないだわたしと付き合いだして……わたしは二人目」  それなりに良い塩梅だと思う。わたしも祝井くんも、恋愛に慣れていて駆け引きを行うほど長けてはいない。だからこそ、正面から――ぶつかるほどではないけど――向き合えるんかな、と。  確かに、先ほどフクザツとは言った。けど、エッチのことだって、うじうじと誘われるより、正面から「しません?」みたいなかんじで言われて、それでまぁびっくりしたけども、安心した。うじうじは性に合わない。正面から言ってきた方が、こちらもどこかで納得する。変なことをいきなりしようとはしないのかな、って。 「やけど、手繋ぐくらいは、どうにかしい」  呆れた様子で、ハァ。とため息をついて、友達が言う。 「ほら、こーしてこーして。繋げばええねん」 「手汗、酷くない? 気持ち悪くない?」 「しっとりして、心地ええくらいや。気にせんでええって」  気になりだすととまらない、オトメ脳なわたしの性質をどうにかすべきかな。心底・心底、そう感じた。
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