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なんやかんやで感化されていたのだなと気がついた。俺はコウさんが気になって仕方がなくなっていた。
やがて、なんやかんやで晴れて昨日から恋人同士になった俺たちは、今、俺の部屋にコウさんが居るという状況。
「祝井くん、手、ほんっと素敵」
あんたが好きな手、手入れせんでどないするの。コウさんはグレーニットのワンピースでレギンスを履き、身体にぴたりとしたスタイルでいた。香水の香りはしないが、和の香りがする。コウさんは香水よりお香が好きなんだそうだ。
「触らんといてください。ていうか、部活のタコやってそれなりにあるし」
「それでも素敵でしょ。羨ましい。触らせて」
「あかん」
「ケチ」
「ケチで結構。それより、ゲームどないすんの。飽きましたわ」
「わたしも、飽きてきたかな」
しばらくはテレビゲームで盛り上がっていたが、それも盛り下がり、コウさんはカーペットにぺたりと寝込んで、俺の手を弄くっている。
「あかん。触らんといてください」
「それさっき聞いたから」
可愛らしい人やと思う。淡白そうに見える外見とは裏腹に、こう見えて家庭的で、やかましいオカン。お洒落にも気ぃ遣って、そこらへんは他の女子と大差ない。ただ少し、主張が強いんやな。オカン主張。
というより、男の部屋に来て、行為を意識していないわけがないと思う。この人の場合、意識というより覚悟やろうけど。俺は寝転ぶコウさんの形の良い尻と太ももを見て、少し視線を、それとなく逸らした。
「やること、ないねえ」
「ですね」
俺が始めてなのも、知ってるくせに。コウさんは、どうなんやろう。聞いたことなかったけど、済ませてるんやろか。それはそれで、ものすごくショックだ。
「じゃ、そろそろ、帰るかな」
「えっ」
「え? ……やることないし、宿題も家にあるし」
「……ありますけど」
「何が?」「やること」
「セックス。」俺が呟くように目をあわせられずに言うと、コウさんは惚けていた。これだから思春期の男子は、とか、言われるんちゃうかなと思ったけど、そうでもなかった。
「わたし始めてだし、ゴムもってないし……そう簡単に、身体ゆるす女じゃないの。ごめん、ていうか、その、まだ怖い、し。」
苦笑して言うコウさんは、少し寂しそうな表情をしていた。俺は慌てて弁解する。「ちゃうくて」
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