3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん~……時間かけて、ちょいちょい相手知ったほうがええと思うで。電撃交際やったんやし」
「ですね。ちゅうか、電撃交際って意味微妙やけど」
「すぐ身体許す子やないやろしなあ。祝井やってそんな子やったら、好きとちゃうやろ」
「です。阿婆擦れに興味ありません」
「阿婆擦れ言いなや」部長はそう言って苦笑した。
「それよりさ」
副部長が腕を組んで、小首を傾げ俺に声をかけてくる。
「葛西は、祝井。自分のどこ気に入って付き合うてくれたん? それ、明確にしとかな、なんやもどかしない?」
「……手が素敵とか、綺麗とか、言うてはりましたけど」
「確かに綺麗やけど」
「男に言われるとか、ほんまキショいな」
「しばく」
ばし、といつも通りのテンションで頭はたかれ、俺は視線を逸らす。
コウさんが、手以外で、俺のどこを好きになったか、か。確かに聞いておくべきかもしれん。
「帰り、聞いてみます」
「おお。進展あったら報告よろしくな」
「葛西って、確か書道部やったっけ」
「ですです。部活後の墨くさいあの人の匂い、慣れるとほんま好きになれますよ」
惚気か! 先輩はそう言って、ばしばしと部室の壁を叩いている。惚気ですって、それ以外の何物でもあらへん。ほんで、あなたに言うのが一番楽しい。
「ありがとうございます、また聞きます」
そうお礼を言ったら、礼言う前に女紹介せぇと言われた。飢えすぎやって。
最初のコメントを投稿しよう!