第二話「その白を汚してもいいかい」

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「ん~……時間かけて、ちょいちょい相手知ったほうがええと思うで。電撃交際やったんやし」 「ですね。ちゅうか、電撃交際って意味微妙やけど」 「すぐ身体許す子やないやろしなあ。祝井やってそんな子やったら、好きとちゃうやろ」 「です。阿婆擦れに興味ありません」 「阿婆擦れ言いなや」部長はそう言って苦笑した。 「それよりさ」  副部長が腕を組んで、小首を傾げ俺に声をかけてくる。 「葛西は、祝井。自分のどこ気に入って付き合うてくれたん? それ、明確にしとかな、なんやもどかしない?」 「……手が素敵とか、綺麗とか、言うてはりましたけど」 「確かに綺麗やけど」 「男に言われるとか、ほんまキショいな」 「しばく」  ばし、といつも通りのテンションで頭はたかれ、俺は視線を逸らす。  コウさんが、手以外で、俺のどこを好きになったか、か。確かに聞いておくべきかもしれん。 「帰り、聞いてみます」 「おお。進展あったら報告よろしくな」 「葛西って、確か書道部やったっけ」 「ですです。部活後の墨くさいあの人の匂い、慣れるとほんま好きになれますよ」  惚気か! 先輩はそう言って、ばしばしと部室の壁を叩いている。惚気ですって、それ以外の何物でもあらへん。ほんで、あなたに言うのが一番楽しい。 「ありがとうございます、また聞きます」  そうお礼を言ったら、礼言う前に女紹介せぇと言われた。飢えすぎやって。
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