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お宅訪問陽一郎宅(渢)
今日は珍しく3人ともお昼過ぎには授業が終わった!
まだ帰るには早いし、どこか行く?って話をしていると、陽一郎が自宅へ行こうと言い出した!
陽一郎の家へ行ったのは、あの日女性と体験した日以来だ・・・・・
自宅には今は李桜さんがいるはず・・・・・
「いいの?李桜さんいるんでしょ」
「だからだよ、渢と桂太にもちゃんと合わせたいんだ」
「そう・・・・・だったら行こう、桂太!」
「そうだね、李桜さんにも逢いたいし」
僕たちは陽一郎の家へ向かった!
相変わらずの凄いお屋敷だ、門の横には警護のためのポリスボックスがあって、数人の警護官が立っていた!
車が近づくと鉄の門扉がスルスルと空いて、車は玄関へと進む!
僕と桂太が降りたあと、車庫に車を入れた陽一郎を玄関ドアの前で待った!
玄関のドアは僕の1.5倍の高さがある両開きの木のドアで重厚な雰囲気だ!
陽一郎が来てドアを開けると、広い玄関フロア・・・・・でも、前回来た時とは雰囲気が全然違っていた!
一抱えもありそうな大きな壺には、白い大きなカサブランカの花がぎっしりと生けられていて、華やかで豪華な雰囲気を醸し出し、甘い匂いに包まれていた!
この前来た時の無機質で寒々とした雰囲気はなく、明るい雰囲気に満ちていた!
玄関から真っ直ぐに歩いてリビングへ入ると、そこには僕の半分ほどの高さのガラスの花器に赤やピンクのチューリップが入っている!
明るい春に満ち溢れた部屋になっていた!
リビングを抜けてダイニングへ行くとテーブルにはピンクのテーブルクロスがかけられて、ガラスの器にには赤い薔薇の花が一輪浮かべてあった!
そこはいつも陽一郎が一人で食事をすると言っていた、大きなダイニングテーブルだった!
それが今では華やかでおしゃれで、活気に溢れている!
陽一郎は僕と桂太の驚いた顔を見て嬉しそうな顔をしていた!
そして、キッチンへ行くと李桜さんと2人でワゴンを押して戻ってきた!
陽一郎のワゴンには紅茶の香りのする、ティーポットとおしゃれなカップとソーサー、李桜さんのワゴンには美味しそうなパンケーキ、パンケーキは生クリームとフルーツが乗っている!
ちょうどおやつの時間にぴったりのお茶とケーキだ!
李桜さんは髪も短くして、淡いブルーの綿ニットと白いパンツをはいている・・・・・なんて素敵でカッコいいのだろうと、僕たちはしばらく見とれていた!
「渢さん、桂太さん、私の手作りのパンケーキ召し上がってください」
「手作り?」
「李桜さんは料理もうまくてさ、お菓子とかパンも作れるんだ」
「ワァ〜陽一郎いいな」
「春さんだってうまいじゃん」
「そうだけど、なんかさ李桜さんに作ってもらえるって凄いなーって思って」
「そうだよ、あの李桜さんの手作りなんて信じられないよ」
僕たちは嬉しそうに笑う李桜さんにまた見惚れた!
優しそうで美しくて料理も上手で・・・・・ほんとに陽一郎が羨ましい!
でも、1番嬉しそうなのは陽一郎本人だった!
最近はお父さんも毎朝一緒に食事を摂り、週に3回は晩御飯も一緒に食べるようになったらしい!
李桜さんが来たおかげで、お父さんともやっと本当の親子になれたと陽一郎が言った!
これまで心を通わせる機会が無かった陽一郎とお父さん!
中学一年の時自分の出生について聞いた時これまでのお父さんの自分に対する冷ややかな態度の理由が初めてわかったと言った陽一郎!
それでも、血の繋がりがあり同じ家にずっと住めば、そこには親子としての情が沸いていた!
それをお互い伝える手立てもないまま過ごして来た、それが李桜さんが来た事で3人の中にあたたかな感情が芽生え、素直に親子だと思えるようになった!
陽一郎の幸せそうな笑顔に僕も圭太も胸がいっぱいになった!
甘くて美味しいパンケーキと香りのいい紅茶をいただきながら、僕たちも幸せな時間を過ごした!
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