二人だけの夜(龍之介)

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二人だけの夜(龍之介)

今夜は春さんも父も留守だ、家の中は僕と渢の二人だけになる。 渢は夏休みでまだベッドに寝ていた………起こさないようにベッドから抜け出して朝食をすますと病院へ向かう。 仕事を終えて帰宅すると春さんが作り置きした晩御飯を渢がテーブルに用意して待っていた。 二人で食事を済ませ食器を洗う………渢が一緒にお風呂に入りたいと言った。 子供の頃のように髪を洗ってほしいのかと思ったら、僕が洗ってあげると言う、あの頃いつも僕は渢の髪を洗っていた、渢のことが可愛くてたまらなかった。 髪も身体も綺麗に洗って、ドライヤーで乾かすとサラサラのいい香りがして、思わず顔を近づけて匂いを嗅ぐ僕に渢はいつも嬉しそうに笑っていた。 あの頃から僕は渢が好きでたまらなかった、誰にも見せたくなくて長くなると柔らかな少しカールした髪を僕が自分で切ってやった。 美容院でみんなの目にさらされるのが堪らなくて、少し伸びたら切ってまた少し伸びたら切って………結局あれから美容院には行っていない。 渢の柔らかな髪がたまらなく好きだから誰にも触らせたくなかった。 今夜は渢が僕の髪を洗うと言った………大学生になった渢と抱き合うようになっても裸でお風呂に入るのは緊張する。 服を脱いでシャワーを浴びると渢が椅子に座るように言った……… 「子供の頃のように洗ってあげるね、椅子に座って」 優しく子供に言うように言われ、僕は黙って椅子に座った………渢がシャンプーを泡立てて後ろから髪を洗う………あの頃と立場が変わって渢の手が優しく僕の髪を洗った。 髪の泡をシャワーで流すと渢がボディーソープを手に取った。 「身体も洗ってあげる」 その言葉に胸がトクンとなった………期待と少しの不安で胸が高鳴る。 スポンジに垂らして泡立てると、いい香りがした………渢の手が背中から首を撫で肩から手先へと洗っていく。 ただ洗っているだけなのに………むず痒い気持ち……… 前に回って胸から腹へと進み、ゾクゾクする刺激で僕のものはすでに完全に勃ちあがっていた、渢は足の付け根に両手を置いて片足ずつ擦るように上下しながら洗う、手の甲が時々僕のものに触れるのはわざとだ………それがわかっていても我慢できなくて身体が震えた。 泡を洗い流して僕を立たせると、膝まづいて勃起した僕のペニスを口に含んだ………気持ちがよくてボーっとする僕を構うことなく刺激し続ける渢。 先端を刺激し吸い上げ手でつかんで上下に扱く………たまらず腰を突き上げた。 目を閉じて渢から与えられる快感を身体全体で受け止める……… 我慢できなくなって渢の頭を押さえたまま喉の奥深く勢いよく射精した………渢は白い液を口の端から流しながら僕を見上げた。 その顔が憎らしいほど妖艶で魅惑的だった……… がっくりと膝をついた僕に大人の顔をした渢が言った……… 「立って………また洗ってないよ」 自分で洗うと言っても渢は無視する………僕は言われた通り後ろ向きに壁に手を当てて立った、渢が両手で掴んで腰を引く。 尻を突き出すようにした僕の足を広げる、尻の間に手を入れて滑らせるように洗うと中心を指で撫で始めた。 撫でられているだけなのに気持ちがよくて意識がボーッとして腰が動いてしまう………渢がそこに指を入れたのがわかった、じわじわと快感が増し周辺を擦るように動かしながら、片方の手で僕のペニスを強くつかんだ。 指を増やし更に柔らかくすると、渢の屹立が中心に当てられた、突くように中に入れられ、それでももっと中に入れてほしくて腰を突き出す。 ハァーハァーと熱い息を吐きながら身を捩る(よじ)僕の声がバスルームに響いた。 我慢できなくなってもっと奥へ入れてほしくて懇願する……… 「ふう………入れて………もっと………」 「もっと………なかへ………ふう………ふう………」 悲鳴のような声で渢の名を呼び、僕の中ではてる渢を締め上げた。 絶頂を迎え腰を振る渢の身体を背中に感じて抱かれたまま意識を失った。
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