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新学期までに勉強しなきゃ(渢)
僕はこれまで殆ど学校へは行ったことがない、家で小さい頃本を読んでもらった事はあったけど、字も書けないし本も読めない………
そんな僕が学校へ行ってみんなと一緒に勉強するって無理だと思う。
黒いランドセルを買ってもらったけど、学校へ行くのは怖い・・・・学校で友達がたくさんできたら楽しいかもしれないけど、こんな僕に友達ができるのかな。
今日から春休みで龍之介君が僕に勉強を教えてあげるって言った、字を読んだり書いたりできるようになるかなぁ。
この家に来てから毎日夜寝るときに龍之介君が絵本を読んでくれる、それが凄く面白くて夜になるのが楽しみで仕方がない。
次々と新しい絵本を持ってきて、もう何冊も読んでもらった。僕も少しは読めるようになったから、次は僕が読む番だよって言って、僕が龍之介君に絵本を読んであげた。
龍之介君は凄く喜んで次々と新しい絵本を持ってくる、僕に読んでほしいって言ってるけど、本当は僕も読んでもらうのが好きなんだけど・・・・
今日は朝ご飯が終わったら、字を書く練習をした。
まずは自分の名前を書く練習、西宮 渢、ってひらがなと漢字と両方練習をした。
僕の名前は西宮 渢、龍之介君の名前は笠原 龍之介って、ちょっと長い………
でも龍之介君の名前も書けるようにならないと、おやつは無しって言われたから頑張って練習した。
僕の名前も龍之介君の名前も漢字でもひらがなでも書けるようになったから、春さんがご褒美にケーキを焼いてくれた。
フワフワですごくおいしいケーキ、シフォンケーキって言うんだって。
柔らかで大好きなケーキ、これが食べられるなら春さんの名前も孝太郎さんの名前も漢字で書けるようになってやる。
春さんが渢君よく頑張ってるねって言って、明日もケーキを焼いてくれるって言った。
龍之介君が一生懸命教えてくれたから、字も読めるようになったし名前も書けるようになった。
龍之介君が使ってた教科書で1年生から4年生までの勉強を毎日頑張ってやった。
算数も国語も社会も理科も全部頑張った…………でもまだ3年生までしか終わってない。
あと4年生の分が終われば新しい小学校でお友達がいっぱいできるって、龍之介君が言ったから、朝から夜までずっと頑張って勉強した。
孝太郎さんも感心だねって褒めてくれる、晩御飯を一緒に食べるときに龍之介君も孝太郎さんから褒められてた。
「僕龍之介君と孝太郎さんが居れば何も怖くはないし、春さんが居ればいつでも美味しいものが食べられるね」
そう言ったら皆笑ってた・・・・・だって本当にそうなんだもん。
龍之介君と孝太郎さんと春さん・・・・・みんな大好き。
ご飯が終わって龍之介君と一緒にお風呂に入っていつものように髪を洗ってもらう、僕の髪は女の子みたいに長くなってしまったから、明日は龍之介君が美容院に連れて行ってくれるって言った。
美容院ってどんなところだろう?
夜寝るときは龍之介君が本を読んでくれた、今は絵本じゃなくて絵の無い字ばっかりの本を読んでくれる、本はいっぱいあるから毎日違う本を読んでも無くならない、僕は本を読んでもらうのも読むのも大好きになった。
次の日朝ご飯を食べたら、龍之介君が僕の部屋のクローゼットから服を選んでくれた、それを着て新しいスニーカーを履いて美容院へ行く。
スニーカーは龍之介君とお揃いで白いカッコいい靴だ。
春さんと龍之介君と3人で歩いて美容院へ行った、いつも龍之介君が来てるところなんだって。
お店に入るとみんなが一斉に僕たちを見た、みんなにこにこして隣の人と話してる。
「わぁー可愛い……お人形みたい」
「お兄ちゃんもいい顔してるね」
なんだか龍之介君のこと言ってるみたい。
龍之介君は誰が見てもカッコいいんだ、きっと学校でも人気者だろうな、僕のお兄さんなんて言ってるけど、ほんとにお兄さんだったらすごく嬉しいのに……
椅子に座って待っていると男の人が来て、僕の髪を触ってなんか言ってる、春さんと話をして僕の髪を切り始めた。
龍之介君も隣の椅子に座って僕と同じように髪を切ってる、僕の方を見て笑ってた。
春さんは後ろのソファーに座って本を読みながら時々僕と龍之介君を見てる、鏡に映る僕と目が合った。
髪を切った僕が鏡に映ってる、自分の顔がなんだか変な感じ。
龍之介君はいつ見てもカッコいい、髪を短くした龍之介君が僕の頭を撫でて可愛くなったねって言ったけど、可愛いのは女の子に言う言葉じゃないの?
僕は龍之介君みたいにカッコいいって言われたい・・・・・春さんが僕に渢君カッコいい男の子になったって言ってくれたからすごく嬉しかった。
美容院が終わったら3人でお店に入った、今日のお昼はここでご飯を食べるんだって・・・・・春さんのごはんが好きだけど、春さんはここのご飯が好きなのかな。
龍之介君と春さんと僕とお店でパスタを食べた、パスタって美味しかった。
始めて食べるものがいろいろあって、メロンパンしか食べたことがなかった僕のお腹がびっくりしてる。
「春さん、龍之介君パスタって美味しいね、僕始めて食べた。春さんのご飯もパスタも美味しいね」
メロンパンは一口づつ食べなきゃいけないけど、お口いっぱいに食べてもいいんだって春さんが言ったから、いっぱい食べてしまった。
春さんはそんな僕を見ていた、僕がお口いっぱい入れ過ぎて可笑しくて涙が出たんだって言ってた。
龍之介君も僕の顔を見て泣きそうな顔をしている、やっぱりちょっと沢山食べ過ぎちゃったかな、そんなに泣くほど可笑しかったのかなぁ?
今度から少しづつ食べることにしよう。
お昼ご飯も食べたし、帰ったらまた勉強をしなきゃもうすぐ学校が始まる。
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