3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「パパ、今日の授業参観忘れないで来てね」
「お父さん、アイを先に観に行ってください」
朝御飯の片付けをしているときに僕に話しかけるのはアイとシンイチだ。
そう、何を隠そう僕はアイとシンイチの父親になった。
今から3ヶ月前、坂田美奈子は夢を叶えてハリウッドへと旅立った。
当初、美奈子はアイとシンイチをいっしょにアメリカへ連れていくと決めていた。
それを聞いたのは旅立つ一週間前だ。
僕は断固反対した。
美奈子には、せっかくのチャンスを無駄にしてほしくなかったし、子どもたちにも寂しい思いをさせたくなかった。
「じゃあ、子どもたちはひまわり園に預けろって言うの?!」
「そんなこと言ってないよ。ふたりは俺が面倒みる」
「そんな適当なこと言わないでよ。ユウジにそんなこと頼めるわけないじゃない」
「俺が父親になればいいだけだろ?」
こんな会話の末、翌日婚姻届を役所に提出し、晴れて僕は美奈子の夫になると同時にアイとシンイチの父親になったのだ。
ふたりの父親になることに不思議と抵抗はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!