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「吐血から絶命まで約2分、だったかしら」
倒れている女子生徒の頬に、私はそっと触れる。
「やっと手に入るのね、この力が」
そのために、この2年間、彼女を観察し続けてきたのだ。そして、わざと彼女の机にノートを置いた。
「ごめんなさい。罪悪感なんて私は感じないのよ」
だってこれは、正義のためなのだから。
血に濡れた唇に、自分の口を強く押し当てる。
口元を拭い、立ち上がった時だ。彼女の唇がふいに微笑みの形を描いた。きっと最期に幸せな夢でも見たのだろう。
「…そうね。きっとあなた達、いい友達になれたでしょうね」
呟き、私は背を向ける。
「だけどもう無理ね」
だって、殺してしまったのだから。
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