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「俺が見えるのなら、小さい頃から、いろいろと見えてたんじゃないのか?」
おっさんの質問に、僕は首を横に振った。
「確かに変な人はよく見た。落武者や血だらけで道路に寝転んでいる人たちを」
そう言って、僕は両手で口を押さえた。母から「変な人を見たことを人に言っちゃダメ。その人が興味本位で見に行くと変質者に襲われるから」と言われていたのだ。
「マジか? 冗談で言っただけなのに。それ、絶対に幽霊だぞ。さてはコスプレとでも思っていたのか?」
そう言われて、僕の今までの色々な疑問点が頭の中で、線で繋がった。僕は幽霊を見ていたのだ。母は、だから口止めをしたんだと。
「本が散らかっているのは、あなたの仕業?」
「そうだよ。片付けるのが面倒で、出しては読み、読んでは出していた」
ポルターガイスト現象とは、だらしない幽霊が散らかしているだけだった。ホラー映画好きの人に教えてあげたくなった。
「ここは、僕が家賃を払って住んでいるんですよ。出ていってください」
僕は目をつりあげたが、相手は恐れなかった。
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