第一章 はじめてを捧げた

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第一章 はじめてを捧げた

私は三十六歳、深海まゆ、深海不動産の社長を父に持つ世間知らずのお嬢様である。 三十六にもなって世間知らずって恥ずかしい。 今、私は見合い結婚をする様にと父から言われている。 父のお眼鏡に叶った男性と結婚させてしまおうと父は企んでいる。 このままでは売れ残ると考えているようだ。 冗談じゃない、私は恋をしてお付き合いをして好きな人と結婚したいのである。 「お父様の言いなりにはなりません」 「待つんだ、まゆ」 私は家を飛び出した。 広い通りに飛び出した私は、車のライトに眩しさを感じて、気を失った。 気がつくとベッドに寝かされており、おでこはタオルで冷やされていた。 ここはどこなの? そこにドアが開いて一人の男性が入ってきた。 「気が付いたか」 その男性はすらっと背が高く、落ち着いた雰囲気のとても素敵な男性だった。 「あのう……」 「急に飛び出してきたからびっくりしたよ」
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