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絵美が最後に覚えているのはトラックの運転手の必死の形相だった。
通園の集合場所にあと少しで到着するところでその事故にあった。
愛するわが子を守るため絵美は力を振り絞り達也を投げ飛ばした。
普段の彼女からは想像できない力を発揮し、達也はすれすれのところでトラックにひかれずにすんだ。
絵美はすぐに病院に運び込まれたが、ほぼ即死だったようで意識が戻ることなくこの世を去った。
が、今も絵美は達也のそばにいる。
達也はというと、投げ飛ばされたときにガードレールにぶつけた腕を骨折したがそれだけだ。
車にひかれた絵美の痛々しい姿から考えると、骨折程度ならよかったとしか言いようがない。
トラックの運転手の笹野に問題があったわけではなく、車の構造上の不良だったらしい。
ある一定の条件が重なるとブレーキを踏んでいても自動的にアクセルが入る恐ろしい欠陥品だったのだ。
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