第二話

1/5
前へ
/49ページ
次へ

第二話

認知症専門老人ホーム『パブロ』に入居して、半年が経ったそうだ。 「一恵さん、たか子さんがお見えですよ」 「え?たか子が?」 どうやら、面会に来たらしい。 私がボケてしまっている事は、多少なりとも自覚はしているが、流石に此処が家ではない事は分かっている。 しかし、これほど巧妙に入れさせられたのだから、迷惑している家族の為にも、言う事を聞かねばならない。 すぐに帰れると分かっていた、デイサービスやショートステイでのように暴れる事も出来ただろう。 しかし、私には『パブロ』と提携した病院から、認知症の症状を遅らせる内服薬が処方されていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加