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テディベアの口元が薄く開いた感じがしたのだ。
そんなことはあり得ない。
光の加減による、表情。
そう思い込む。
そう思いながらも胸騒ぎが止まらない。
理紗子は不安を拭い去るように、小さく首を横に振った。食器を片付けながら思い過ごしだと考える。
気のせいだと思い込もうとしていると、どこか遠くで突然のブレーキ音のような音が聞こえてきた。
何かがぶつかる大きな衝撃音のようでもあり、悲鳴にも似た叫び声のようなものが響いた気がした。
理紗子は、反射的に振り返っていた。
そこにあったのは、通りに面したガラス窓。
理紗子は息を飲む。
今の音は、まさか……。
嫌な予感がして、理紗子は慌てて店の外に出た。
道路を見ると、先程のカップルが道に倒れていた。近くにはトラックが停まっていた。
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