神様イミテーション

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「そういえば、山科君たちが見たという凶器は?」  すっ、と津川の声が滑り込んできた。楓もはっと目を上げる。あの鈍色の川に落ちていった黒いもの。 「まだ見つかっていません。相当な範囲で探しているようですが……あ、証言は山科先輩以外からも取れたんですけどね、防犯カメラとか、そういうのには映ってないんですよ。なぜか」  角度が悪いのかなあ、としきりに首を傾げる綾野に、恐らく見つからないのではないかと楓は言えないでいる。確かに見た。日向教授も見ただろう。しかし、あれは。  あれは……  それでもきっと堀河刑事は、今日も鴨川をさらっているのだろう。  かみさま、あなたは ずるい
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