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不安な気持ち
その日の夜、私はものすごくベッドの中でも悶々とする羽目になった。
だって、そうでしょう?
いっそ、振られちゃえば、泣くだけ泣いてスッキリできたのに…。
なんなんだろう。未来から来たって。
それは変な冗談だったとしても、先生が事故に巻き込まれるって言ってた…。
そんな酷い嘘を吐くやつだったっけ。
そんなことを考えながら私は眠りに就いた…。
しかし、次の日に本当にどしゃぶりの大雨が降ったのだ。
「ま、まさかね…。」
ただの偶然だろう。
そう私は片づけて、学校に急ぐことにした。
きちんと圭司と話をしないといけない。
なんであんな嘘を吐いたのか、私をどう思ったのか。
「あの、圭司はどこにいるの?」
私は隣のクラスを覗き込んで聞いてみた。
彼は私の隣のクラスなのだ。
どうせなら同じクラスがよかったのに、っとそれはどうでもいいんだけれど。
「ああ、あいつはなんか風邪引いたみたいで休みみたい。」
彼と仲のいい男友達は答えた。
「そ、そっか。ありがとう。」
なんか、一気に拍子抜けした。
ふらふらと自分のクラスに戻って席に着く。
これからどうしようとぼんやりしていると、がらりと扉の開く音がした。
そこにいたのは、副担任の中岡先生だった。
いつもだったら、朝のホームルームは、担任の山川先生なのに。
「はい。静かにしなさい。山川先生は今日はお休みだ。だから、今日は私が代わりに朝のホームルームを行う。」
そう中岡先生が言うとクラスが一気にざわざわしだした。
それもその筈、担任の先生が休むとなれば、ちょっとした事件だ。
私は急速に嫌な予感がして、体が冷えていくような気がした。
「先生はなんで休みなの?ずる休み?」
そんな風にお調子者のクラスメイトが聞いた。
すると、中岡先生は呆れたように、
「そんなわけないだろう。出勤中に事故にあわれたそうでな。万が一のことを考えて、検査入院されるそうだ。何事もなかったら、近々出勤されるだろう。」
そう、あの未来から来たという圭司の言葉は全部当たったのだ。
その日の放課後、私は図書館に行ってみることにした。
だって、あんまり気になっていたのだ。
すると、当然のように圭司は図書館で待っていた。
「来てくれてよかった。」
ちょっと彼がほっとしたように言うから、少し警戒心が緩んでしまった。
「あなたの言ったことは当たったよ。その…。本当なの?」
恐る恐る私は聞いた。
ここで全部嘘でしたと言われたら、思いっきり怒って仲直りして、おしまいにできるのに。
しかし、彼は私の期待を裏切ってそうだよと頷いたのだった。
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