1・走り回る犬は骨を見つける

1/13
2386人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ

1・走り回る犬は骨を見つける

   もう、なりふり構ってはいられない。    素っ気ない白いドアの前で、詩鶴(しづる)は下ろした両の拳をぎゅっと握った。    不安は、あった。  でもこれは、ただの未知のものに対する不安。別に命を取られる訳じゃない。  進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。  昔の偉い人も、そんな事を言っていたじゃないか。  そう自分を奮い立たせて、そのドアを開けた。  
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!