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陽翔の後ろに腰を下ろし、バイクで住宅街をすり抜けていくと、飛華流は少し安心した。これで、きっと死神から逃れられるはずだ。
しかし、陽翔がバイクを走らせてからも、死神は一定の距離を保ちながら、彼らの後を追ってくる。このバイクは遠い目的地へ直ぐに到着するほど、かなり速いスピードを出している。
それなのに、簡単について来られるなんて、死神も高速すぎるだろ。慌てて飛華流は、陽翔に報告する。
「た、たた……大変です。死神が、僕達について来ますよ
「……飛華流、なるべくそいつを見ねー方がいい。そしたら多分、そのうち消えてくからよー。俺様も、実践済みだ」
陽翔のアドバイスを聞き、飛華流の怒りが膨らんだ。先程、陽翔に状況を伝える為、飛華流は死神をかなり見てしまっていたからだ。
そんな重要な事、もっと早く教えろよ。だが、イライラが増したものの、飛華流はこう感じていた。
まあ、そうじゃなかったとしても、あの恐ろしい姿を、何故か目にしてしまうんだがな。それも、きっと死神の能力なのだろう。
枯れ木の広がる森へ入った直後、死神は霧の様にスーッと姿を消した。それと同時に、飛華流の体は元気を取り戻す。
「あ、あの……陽翔さん、死神はいなくなりました」
飛華流はそう発した直後、それを後悔した。そんな事をわざわざ口にしたら、僕はここからアジトまで自力で走らされるじゃないか。
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