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執拗に言い聞かせる舌に肩をすぼめて身をよじるが、律を逃がさぬように腕が絡まる。
「ちが……っ。ま、待って」
強張る胸から腰へと滑り下りようとする千秋の手を、押しとどめた。
決して強くないそれを解かずに留め置いて、背中を丸めて胸に頬を乗せる。
「なんだ?」
鼓動に耳を傾けるようにしながら上目遣いに問う。
――とにかく話題を変えようと思った。
「その……キャベツってどういう意味なんですか?」
「キャベツ?」
「モン・シューって「私のキャベツ」だってエマちゃんが教えてくれました。どうしてキャベツなんですか?」
頭を冷やすための律の作戦は失敗した。
「――――青虫がおいしく食べるからだろう」
「青虫?」
千秋の視線に釣られるように視線を下げた。
耳まで熱い。
「青虫さんはいい子ですよね?」
「――いい子すぎて飢え死にするかもしれん」
声と共に肌を滑る息が、くすぐったい。
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