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待ち合わせの場所の土手には、又が先に来ており、
「よし、行こう」
と又は言って歩き始める。
終始又は、腰にさしていた刀の鞘をさすりながら、
「手柄立てるぞ」
と話していたのと対照的に、源は腰にさしている刀がとても重く感じ、城までをとても長く感じた。
城内に入り、配置先を伝えられと、
「荷物運びかよ」
と又はずっと不満を言っていた。
出陣の合図とともに源達は荷駄を押して歩き始めた。
進んでいくと遠くに小さいからに登っていた川沿いの桜の木が見えた。
あの頃の源には輝いて見えた軍であるが、現実は全く違っていた。
延々と続く道を荷駄を黙々と押して進んでいく。
体力に自信のあった源ではあるが、さすがに足や腰が疲れて痛くなってきた。
休憩時には又とその場で何も話さず、座って疲れをとっていた。
山道に入ってくると登りのため一層体に負担がかかってくる。
(もう限界だ)
と思っていた時にようやく下りになった。
とはいえ、今度は敵地に入ったので、周りを気にしなければならず、精神的にも疲れてきた。
「源、湖だ」
と又が短く話しかけてきたので、荷駄を押しながら右側を見ると、大きな湖が見えた。
「きれいだな」
と源が短く又に声をかける。
「ひゅー」
と風をきる音が、左側から聞こえてきた瞬間、
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