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「うっ」
と言って、又は前のめりに倒れそうになった。
「又」
と源は、急いで又を支えようとすると、
「わー」
と大きな人の声がしたので見てみると、槍を持った敵兵が、源達の部隊目掛けて走ってくる。
源は、恐怖のため力が抜けてしまい、又を支えることが出来ず、又は前のめりに倒れこんだ。
見ると首に矢が刺さっていた。
(ここで死んでしまうのか)
と源は諦めて、その場に座りこむと、馬のいななきが聞こえ、騎馬武者が敵兵目がけて一斉に攻撃をしかけていった。
「ぐわー」
「ぎゃー」
という人の声がし、血の臭いが漂ってくる。
源は、両手で耳を塞ぎ、目をつぶってその場から動けなくなった。
その後どうなったのか全く覚えていない。
知らない間に又の遺体は片付けられており、源は荷駄を押していた。
(もう帰りたい)
(又に申し訳ない)
という気持ちでいっぱいになり、
(結局何も出来なかった)
と自己嫌悪におちいった。
宿営になり、寝ようと思ったがなかなか寝られない。
宿営地の周りは、篝火が勢いよく焚かれていて、「パチパチ」
と音をたてている。
夜空を見上げると月が出ていたので、陣から少し離れた草むらに座った。
月の光が、源を優しく包んでくれる。
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