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そのことを、お婆様に打ち明けた。
[ それは仕方がないわね。でも、瑠璃ちゃんも、漢字は書けるし、入学できたのだから
その、池田君と比べる必要はないわ。池田君は、池田君。瑠璃ちゃんは、瑠璃ちゃん。
それでいいのよ。]
[ はい。わかりました。]
それからは、池田君を尊敬して見ていた。
三年の月日が、流れた。武お兄ちゃんは、大学を卒業した。
一級建築士の資格試験に、合格した。
武お兄ちゃんも、美瑠お姉ちゃんも、泣いていた。
早速、棟梁のお宅で、祝杯を挙げることになった。
[ よく頑張りましたね。]
お婆様は、泣いて喜んでいた。
[ 就職先も決まりました。棟梁、皆さま
本当に、ありがとうございます。]
武お兄ちゃんは、晴々とした顔で言った。
その顔には、誇りに満ちていた。一生懸命勉強をして、資格試験に合格した。
その誇りに満ちていた。美瑠お姉ちゃんのために、働ける。その自信にあふれていた。
私も、誇りを持とう。持っていいのだと、その時、改めて思った。
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