慶応の馬鹿さん

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慶応の馬鹿さんは、素敵な男性に変わっていた。 [ 僕は、三十二才です。先生は、お変わりありませんね。] [ ありがとうございます。でも、すっかり変わられましたね。あの頃の面影はありませんね。嬉しいですよ。 N高校の先生になられるとは、ご立派です。] 私は、コーラ。父と慶応さんは、アイスコーヒーを飲んだ。 [ あのう、お名前はなんと、おっしゃっいますか? ] [ 申し遅れました。平山 勝( まさる ) と、申します。] [ お会いできて、嬉しいですよ。平山さんのご活躍を、お祈りします。] 平山さんとは、それ以来、お会いしたことはない。 平山さんは、喜びと自信に溢れた顔をされていた。 麻雀ばかりしていた、川崎の、慶応の馬鹿ではなくなっていた。 人は、変われる。投げやりにならずに、なにかに打ち込めば、変われるんだ! 私は、平山さんに教えられた。立派な男性に なられた、平山さんに。 本一冊も読まなかった、慶応の馬鹿さんに。
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