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美瑠お姉ちゃんのご主人の、武お兄ちゃんは
働いていなかった。
ときどき、美瑠お姉ちゃんを殴っていた。
美瑠お姉ちゃんは、いつも泣いていた。
その度に、お婆様が、美瑠お姉ちゃんの家に
行ったけれど
[ うるさい! ばばあ! ]
それだけだった。棟梁が来て下さればと思っていたけれど、そういう時ほど、棟梁は仕事でいなかった。
[ なんとかならないのかなぁ? ]
[ 大丈夫ですよ。そのうち、武さんも立ち直るから。]
ある日、美瑠お姉ちゃんが、武お兄ちゃんに
殴られて、泣いている時に、棟梁が来てくれた。
[ あんた、女に、しかも、こんな可愛らしい人に手を上げてどうするんだい!
あんた、自信が無いんだな。こんな可愛らしい人は、俺にふさわしくない。
そう思っているんだな! あんた、働いてごらん? そこで、工事している。
あっしが、話をしてくるから、働いてみな。]
棟梁は、工事現場の監督に話をしに行った。
[ 人手が足りないらしい。日払いだ。行って来な。働いて一家を支えるのが、男の誇りってもんよ。]
背の高い棟梁は、優しく言った。
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