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[ いいよ。あんたが立ち直るなら、幾らでも出すよ。あっしの息子たちも、一級建築士の資格を持っているんだ。]
[ え! そうですか? 大学は夜でしたか?
それとも、、 ]
[ 昼間だったよ。あんたも昼間、大学に行った方がいい。アルバイトは少しの時間でいいよ。
生活費は、あっしに出させておくんなせぇ。
美瑠ちゃんのためにな。アルバイトで体を壊したら、元も子もない。]
棟梁は、私の目に輝いて見えた。武お兄ちゃんの、お父さんではないけれど、親としての
誇りを、棟梁は持っていた。
[ ありがとうございます。よろしくお願いいたします。]
武お兄ちゃんは、また、畳におでこをくっつけた。
それから、武お兄ちゃんは、ゼミナールに
通い始めた。
そして、大学に入学出来た。
[ 入学祝いを挙げたいが、これからだからな。一級建築士の資格をとったら、祝杯を挙げよう。] 棟梁はそう言った。
武お兄ちゃんは、昼間は大学に通い、七時頃まで、レストランのウエイターをして働いていた。
武お兄ちゃんは、不良のような顔をしなくなった。
さわやかな笑顔の、持ち主になった。
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