Chapter:6 初体験

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(まさやんに文句言いたいけど出来ない……)  意外にラブなホテルのロードは長く、まだまだ店舗によって工夫をこらした「休憩」や「Rest」のフォントを視界に入れないといけないようで、彼女と初と言ってもいいデートとしては不釣り合いの空間に無理矢理放り込ませたまさやんに怒声を浴びせてやりたい……とも思ったものの、まさやんもまさやんで俺の事を真に考えてこのようなデートプランを勧めてきたのだ。 (親友を揶揄ってやろうなんて気持ちは一切ないんだよなぁまさやんは)  まさやんと俺は、大学の入学式から気が合い、今まで何度となくコーラやビールを飲み交わして親友の絆を深めていった。 (まさやんはきっと……はなが俺にガッカリしないようにって……そう気を利かせてくれたんだと思う)  というのも、はなと出会った数時間前に俺のスマホへと別れを告げた元カノ光希(みつき)は3ヶ月経っても一線を越えようとしない俺に愛想を尽かしたわけだ。直接会うでも無く通話するでも無くメッセージという一番簡素な方法で「別れよう」「もう待つのは無理」と文字を綴ったのだから、優しくするのが一番と信じてやまない俺に相当辟易したんだと想像する。  
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