Chapter:1 出会い

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* 「(はな)ちゃーん! 今から発注かけてくるからさ、1人でレジしててくれる?」 「はーい!」 「ありがとうっ! いつも助かるわぁ♪」 「えへへ」 「華ちゃんはほんっとうによね♪」  今も「チャコ叔母(おば)さん」ことオーナーの久子(ひさこ)さんにお願いされ、深夜近くまでコンビニバイトをしていて今は1人ポツンとレジの前で立っている状況だ。 (結局は「良い子」になってるなぁ……チャコ叔母さんにはめちゃくちゃお世話になっているから断りたくないっていうのもあるけど)  うちのコンビニ、花見シーズンになると連日お客様でいっぱいになる。今はもう(えん)もたけなわって感じで静かなんだけど。 (お花見かぁ……本当は行きたかったなぁ)  本来なら今夜、友達と3人で夜桜を観に行く予定を立てていた……んだけど、他のバイトさんが急に熱を出してしまって「良い子」の私に欠員補填の役が回ってきちゃったんだ。 (まぁ、人混み多いの苦手だしコンビニの仕事が好きだから良いんだけどね)  寂しさを紛らわそうと、私は店舗の自動ドアを開けて掃除用具を取り出した。 (桜並木は目の前だし、外にいたら桜の香りとかしてちょっとだけでもお花見気分が味わえたりして♪)  そんな軽い気持ちで駐車場を掃いていたら 「ねーねー、おねーさぁん」  背の高い2人組の男性が近付いてきた。
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