Chapter:1 出会い

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 胸とお尻の事を言われるのが一番苦手な私は、(ほうき)の長い柄にしがみつきながら後退(あとずさ)りしていく。 「せっかくのおしりをガラスで潰しちゃダメだよー。こっちきてよ、ねぇねぇ」  「イヤだ」というのを態度で示しているつもりなのに、ちっとも分かってもらえない。 「あ~おっぱいにハリがあるぅ♪ 脱がせたらめちゃイイカラダしてそ~」  一方の人に気を取られていたら、もう一方の人にムニッと胸を思い切り触られてしまった。 (やだっ……怖いっ……)  柄にしがみついて……下を向いて…… 「やめてくださいっ……」  頑張って声を絞り出したのに 「マジでおっぱいおっきいねー♪ 何カップ?」 「田舎っぽく三つ編みとでかいメガネしてるけどさー、なんで? コンタクトしたら良くない?」  私の言葉なんか無視して2人はグイグイ迫ってきた。 「そっ……そんなのあなた達に関係ないじゃないですかっ!」  普通に近付くんじゃなくて、腰を前に突き出しながらくっつこうとしてくる。 「えー? 怒られたの? 俺ら」  桜並木でのお花見を楽しんでいたらしく、2人からビールっぽい臭いが立ちこめているし 「アドバイスしてあげてんだけど? 『こんな風にしたら付き合ってあげるよー』って」 「ま、その『付き合う』もワンナイトかもしんないけどねー♪」 「確かにっ! なんかね、たまには違うのみたいなーって気まぐれのヤツね」  すっごくすっごく怖いし、すっごくすっごく嫌な気分になる。
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