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(お花の香りが嗅げたらいいなって思ったのに……)
現実はそんな可愛らしい香りじゃなくて、下品な吐息音やビールの臭いを吸う私。
「うぅ……」
悲しくなってきて涙が浮かんできた。
「今ってバイト中? 何時に終わるの? 終わるまで待っててあげよっか?」
「そしたら3人でさぁ、楽しい事しよっ! ねっ!」
怖いし気分が悪いし悲しいのに、全く動けない。
「っ」
何も出来ないでいる私に、2人は腰やお尻に腕を回すと
「楽しいって、どんな事かをちょーっとしてあげよっか♪」
「来て来て♪こっちこっち」
グイッと強く引き寄せて駐車場の奥側へと連れて行こうとする。
「や……」
抵抗したくても、男性の腕力……しかも2人分もあるから逃れられない。
「味見っ♪ 味見っ♪」
「ほっぺはどんな味かな~甘いのかなぁ~」
「耳、ちっちゃくてかわいーから噛んじゃお♪」
手首を強く掴まれ、グイッと空に向かって持ち上げられようとした……その時
「うちの従業員に何をしているんですか?! 警察を呼びますよ!!」
チャコ叔母さんの大きな声が2人の動きをピタッと止めた。
「やべっ!」
「逃げるぞ!」
直後、2人は態度を一変し慌てふためきながら逃げていく。
「あっ!! コラっ!! 待ちなさいっ」
チャコ叔母さんの制止をきかず、2人はあっという間に走り去っていってしまった。
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