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「大丈夫? 華ちゃん」
その間、チャコ叔母さんは私の体に異常が無いかを確認してくれる。
「はい……」
「ごめんね、1人にさせちゃって」
「ううん、叔母さんは忙しかったんだから悪くないです」
「いくら姪とはいえ、私も華ちゃんに甘え過ぎちゃった……本当にごめんなさい」
怖い思いをしたけれど擦り傷も痣もないし、チャコ叔母さんの温もりや男性の冷静な対処で落ち着きを取り戻した。
結局警察官が来て諸々を伝えて……
思ったよりも時間がかかってしまった。
私やチャコ叔母さんは店の関係者だから良いけど、通報して下さった男性にとっては無駄な時間を過ごさせちゃったから申し訳なく思う。
「長い時間本当にありがとうございます」
チャコ叔母さんは男性に深々と頭を下げたから、私も慌ててお辞儀する。
「いえ、物凄く怖い思いをしたでしょうし……」
男性はにこやかな表情でチャコ叔母さんの方を一度向き、それから
「従業員さんが無事で、本当に良かったです」
私の方を体ごと向き直り、優しく微笑みながらやわらかな口調でそう言ってくれた。
「ありがとうございます……」
優しい態度や言葉に私はまた涙を溢れさせる。
「華ちゃん……」
チャコ叔母さんは心配そうに背中を撫でてくれたけど
「本当に……本当にありがとうございます! あなたが店長を呼んで下さらなかったら私、どうなっていたか……」
子どもみたいに泣きじゃくってはいけないって踏ん張りながら、男性に何度も何度も頭を下げた。
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