Chapter:6 初体験

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「どうかした? あおくん」  直後、可愛いはなの声で呼び止められて 「えっ……」  呼吸が0.1(レイコンマイチ)秒止まる。 「あおくん、なんか汗かいてる?」 「……」 「繋いでいた手、熱くなっちゃったかな?」  再開出来た息継ぎは自然と粗くなり…… 「あ……ごめん、はなとお付き合い出来てデート出来るなんて嬉しすぎて緊張してるみたい」  手汗どころか額やワキまでやばい事になっているんじゃないかと焦ってきた。 「えっ? そぉ?」  はなは周辺建物が何であるか気付いてないのかもしれない。  俺の顔を可愛らしい表情で見つめ、丸眼鏡の奥も「幸せいっぱい」といった様子でいる。 「うん」  俺は無理に笑顔を使って頷いてみたけれど (これは完全にやられた……)  気持ちはどんよりと落ち込む。 (ラブの方のホテル街に入り込んでしまったのは偶然なんかじゃない。まさやんにんだ……)  昭和レトロなカフェを激推しされたのは「ラブなホテル街にあるカフェで食欲を満たしたら、他の欲を満たさなくっちゃ体に悪いよね♡」というまさやんなりのという事に俺は気付いてしまったんだ。
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