Chapter:6 初体験

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「ナポリタン美味しいね!」 「美味しいね、はな」  老舗の純喫茶とあって、ランチで出てきたものは全て美味しかった。  シンプルな料理だけど真剣に作られている感じはする。クーポン配布がなくても満席状態になるんだろうな、とも思った。 (周りの客、みんな俺達みたいなウキウキした学生カップルか手慣れた大人カップルばかりなのが何とも言えない……。  いや、ラブホ街っていう立地を生かしてのシステムにしているのか?)  普通にしていても客がつく店なのに、クーポン目当てで入店しコーヒーを飲んで向かいのホテルへ直行する流れになっているのは良いのか惜しいのか……はたまた…… (もしかしたらこのカフェ、ホテルの経営者か親戚がやっているのかも?)  ……と、色々と考えを巡らせながらコーヒーを飲んでいると 「ねぇねぇあおくん。ここのお客さんって……」  はなは俺に顔を近寄って口元に片手を添え、内緒話をするような仕草をとりながら 「みーんな、向かいのビジネスホテルへ入ってる? 私達くらいのカップルも居るけど実は会社員なのかなぁ?」  と、言ってきて……
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