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「華ちゃん」
チャコ叔母さんが呼び止めたけど、それを振り切って……
「えっ?」
キョトンとしている阪井蒼さんの前に立ち
「私、ここのコンビニで週四日バイトしている長岡華子って言いますっ!」
大きめの声でハッキリと名乗った。
「長岡……華子、さん?」
驚いた様子で目を大きく見開かせながらも、ちゃんと私の名前を復唱してくれた阪井蒼さんの優しさが嬉しくて胸がいっぱいになって……
「今度っ! 改めてお礼させて下さいっ!!」
先程の酔っ払い2人とは全然違う、この優しい人とのご縁を繋ぎたいだなんて、大それた事を強く思ってしまった。
「お、お礼……?」
「ダメ……ですか?」
「いや……ダメ、では……ないですけど」
阪井蒼さんは戸惑った様子で慌てふためいている。
(あれっ? グイグイ行きすぎちゃったかな? 迷惑だった? 間違えちゃったかな……)
好意のつもりで発言したつもりだったんだけど、阪井蒼さんの態度を見て「やり過ぎた」と反省した。
「はいはい華ちゃんっ! ちょっとだけ落ち着こうね」
するとチャコ叔母さんが追いかけてきて私の頭を軽く小突く。
「んっ」
ちょっと痛かったけど、私も悪いのだから反論は出来ない。
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