Chapter:1 出会い

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「阪井さんは洋食って好みかしら?  実はこの長岡に今日、この先にある商店街の洋食屋さんの割引券を渡してて。不躾なお願いで恐縮なのですが、この子と食事してもらえないでしょうか?」  痛む頭をスリスリ撫でていると、チャコ叔母さんが私よりも突飛なお願いを阪井蒼さんにしていたものだからビックリする。 「えっ……洋食、屋さん?」  案の定、私の名乗りよりも戸惑っていたんだけど 「ええ、『jolie mante(ジョリー・マント)』っていう店名で、エビグラタンがすごく美味しくてオススメなんですよ♪ 良かったらいかがでしょうか?」  叔母さんが店名を口にした途端に阪井さんは目をキラッと輝かせて 「はいっ、よろしくお願いします!」  にこやかに笑い、誘いに乗ってくれた。 (わぁ……良かったぁ)  あんなに驚いていたのに了承してくれたのが意外ではあったけれど、結果的には嬉しい。 「はい、こちらこそよろしくお願いします。楽しみにしていますね」  私も頬を弛ませながらニコニコで返事を返した。
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