Chapter2:御礼ランチ

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* 「よしっ! 完璧っ!!」  12時30分。  玄関に置いてある姿見で全身チェックをした私は気合いを入れて外に出て、エレベーターを降りる。 「チャコ叔母さん……」  一階に降りてすぐのコンビニ店舗から中の様子をチラッと覗くと、叔母さんはレジ業務をしているところだったから 「行ってきます」  誰にも聞こえないくらいの小さな声を出すに留めて、待ち合わせの駅へと向かった。 (いつもなら原付でブイーッとすぐに行けちゃうけど、今日は歩きだもん遅れないようにしなくっちゃ!)  駅までは徒歩で20分くらい。原付を持っているから、このくらいの距離を歩いて移動するのは久しぶりだ。 ((あお)さんは巻き髪って好みなのかな? ガーリーなワンピースってどう思うかな?)  原付で向かわなかった理由はもちろん、今日の為に三つ編みをほどきセットし直したウェーブヘアや新しく買ったワンピースをなるべく綺麗に保つ為だ。 (はぁ……変に思われないか不安だよ……)  失礼のない見た目を目指してみた……とはいえ、私だって19歳のイマドキ女子なんだから少しでも印象良く思われたいっていうのはある。 (酔っ払いの2人組の言う通りにするのは悔しいけど、確かに引っ詰めた三つ編みって田舎っぽく感じちゃうよね……ゆるっと崩した三つ編みならともかく)  あの酔っ払い2人の言葉が男性の純粋な意見なのだとしたら、やってみる価値はあるんじゃないかって思った。お家の中以外で髪をおろすなんてほぼ無いから蒼さんからどう思われるのか気になるし、不安でいっぱいなんだけど。
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