Chapter2:御礼ランチ

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「えっ? 蒼さんご存知の店だったんですか?」  私がリアクションしたタイミングに合わせ、蒼さんは更ににこやかな表情になる。 「はい、オープン前の時間に花の配達をしてきたところなんです。俺、花屋でバイトしてるんで」 (えっ?! 蒼さんってお花屋さんでバイトしてるの??)  ニコニコな蒼さんに反して、私は驚いてばかり。  『jolie mante(ジョリー・マント)』はチャコ叔母さんと月一ペースで通っている洋食店で地元密着型の古き良き商店街沿いにある。チャコ叔母さんはエビグラタンがとても大好きでよく注文するんだけど、お料理が美味しいことと同じくらい店内に飾られている可愛らしいお花にいつも目を奪われていた。 (私がいつも「可愛いな」って感じてたお花を、蒼さんが配達していただなんてすごい繋がり!)  だから驚きもひとしおだ。 「そうだったんですね~!!」 「ですから、並んで一緒に行きましょうか」 「はい、並んで、歩きましょうね」 (偶然なんだろうけど凄い……)  待ち合わせ時点で私の髪や服装にイヤな顔をしなかったから不安な気持ちは完全に取れたけれど「洋食店でのお気に入りポイントが、実は蒼さんが関わっていた」という事実にドキドキしてくる。
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