Chapter2:御礼ランチ

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*  食べ終わったら、食後のコーヒーを追加注文した。 「あ、このコーヒーってもしかして『雨上がりブレンド』かな? ここの近くにある『After The Rain』って店名の珈琲豆専門店の」  蒼さんがカップに口をつけた直後、後ろを指差しながら私にそう言う。 「え? そう……みたい、ですけど」  店名を言い当てたのもビックリだけど、「ブレンドですか?」じゃなくて「ブレンド?」ってくだけた口調になった事にキュンときた。  確かにこの店で提供されるブレンドコーヒーは『jolie mante(ジョリー・マント)』の並びにある珈琲豆専門店の商品をペーパードリップしたものらしい。話に聞いているだけで正式な店名までは知らなかったし買いに行った事もないんだけど。 「俺、土曜日の朝にここのエリアを配達するって言ったじゃないですか。珈琲店へは最後に配達行くんです。お花を持って行ったらサービスに好きなコーヒー一杯とポテトサラダがもらえるから」 「えっ?! サービスにコーヒーとポテサラ食べられるんですか?」 「うちの店長と珈琲店のマスターが仲良くて、お花とコーヒーが物々交換になっているみたい。だからうちからはミニブーケ2つ分の開花したお花を見繕って毎朝渡す事にしてるんです」  
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