Chapter10:秋の味覚をご一緒に

39/54
前へ
/693ページ
次へ
「俺の父さんは公務員で真面目なんだけどさ……その分家庭的じゃないっていうか。爺さんの言いなりになっててさぁ。  婆ちゃんはそんな爺さんの所為で苦労したみたいで、俺が生まれる前に死んじゃったんだよね」 「……」 「母さんはさ、姑が居ないから嫁いびり的なものはないんだろうって、結婚する時に軽く考えていたんだと思う。  爺さんと父さんの、昔ながらな考え方にストレスが溜まってパチンコにハマっちゃってさ。浪費しまくったのが原因で離婚したんだよ」 「…………パチンコ……」  あおくんの話と、澤村くんが以前していた噂とが重なった。 ーーー 『アイツの母親はパチ狂いでさぁ、どうしようもねーの。この前なんて母親から電話かかってきて、今アイツの貯金すっからかんなんだよ』 ーーー (澤村くんの話、あんまり信用してなかったんだけど……)  「そっかぁ」の返答が出そうになるのを、私は唇をキュッと締めながらグッと堪える。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加