Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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「っていうか、母さんは元々そういう性質があったのかもしれない。裕福な人と再婚してもんだろうし、母さんの再婚相手も、ある程度そういう事を許容出来てるんだろうし。母さんにとっては真面目な公務員の父さんよりも再婚相手の方がもっとずっとに感じられてるんじゃないかな」 「…………」  私は澤村くんの話にもう一点確信を持つ。 (あおくん……やっぱり、離婚後のお母さんと親しくしてないんだ。再婚相手の男性に対してすごく他人事なんだもん) 「俺の名前の『(あお)』はね、爺さんが決めた名前なんだよ。姓名判断の占いやってる人に候補を決めてもらってさ、『自分は古い考えを持ってない、今時な名前をつけてやったぞ』って偉そうな口ぶりでさ……俺、物心つく頃からその話ばっかり聞かされてた。  なのに、次に生まれた妹や弟の名前には『長男じゃないからお前らが付けろ』ってぞんざいに扱うんだよ。おかしいよね……だから、母さんが俺とは全く名前の系統が違う『真琴(まこと)』と『真司(しんじ)』って付けて、俺と……妹と弟とで、愛情の差をつけ出したんだ」 「…………」 「母さんも馬鹿な女なんだよ。俺にさ、ハッキリ言っちゃうんだよね。『あの子達は真琴()真司(信じ)られる、大事な子ども達よ』って」  
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