Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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「……俺が一人暮らしをするきっかけになったのはね、爺さんが死んですぐに父さんが父さんや俺の顔と似た子ども3人を連れたシングルマザーと再婚したから」 「えっ?」 (あおくんやお父さんの顔と似てる子って……まさか?!)  さっきあおくんは「お父さんは真面目な公務員」って私に説明してくれたけど、「顔が似てる」の部分で血の気がサッと引く。 「爺さんの喪があけない内に再婚だよ? 高校生になった俺だって流石に勘繰るよね……父さんとその女も言葉を濁してたけど、どうやらだったみたいで」 「…………」  「」という言葉そのものが恐怖に感じたのは生まれ初めてかもしれない。 「母さん、離婚する時に『やっぱり優しい人が一番よね』って捨て台詞吐いたんだ。  母さんがパチンコにハマって浪費したのが離婚理由って事になったけど、俺を阪井の家に置くからって名目で、父さんは養育費とは別にお金払ったらしいんだらよね。ご近所さんは『長男さんは金で買われたのね』なんて下衆な冗談言ったりしてたけどさ……母さんはきっと、父さんの不倫的な事を勘付いていたんだと思う」
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