Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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「洗練された……栗ご飯?」  栗ご飯に「洗練された」なんて修飾語をあおくんがつけたから、首を傾げてしまったんだけど 「栗の皮剥きを初めてして気付いたんだよ。あんなに硬い殻みたいな皮の中にさ、渋い皮がまたあって……俺の汚い部分に似てるなぁって。  美味しく食べる為には、硬い皮も渋い皮も全部丁寧に剥かないといけないだろ? 俺もさ、本当ならやわらかくて甘みのある美味しい部分だけあればいいのにブラックでダークな部分もあってさ……普段はそういうのを心に纏って、更に分厚い(ツラ)をかぶって、平気な顔してる。  はなのご家族や久子さんみたいなキラキラして強い人間のようになるには、俺も全部そういうのを()いではなに曝け出して、はなに渋い皮も何もかも()いてもらいたくなったんだ」 「あおくん……」 「本当なら、食器洗い中じゃなくて、はなと見つめ合いながら話をした方が良かったよね。だけど、はなやはなのご家族や久子さんのキラキラに耐えられなくて、面と向かって話出来なかった……何か作業しながらじゃないと自分の話出来なくて、ごめんね本当に」  
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