Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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「渋皮を……上手く、利用?」  ジャム瓶よりも一回り小さいこの瓶には、トロリとした蜜がたっぷり入っていて、丁寧に処理された大粒の渋皮煮が3個ゴロッと入っている。  これは生の栗を送ってくれた段ボールの中に同梱されていたもので、彼氏さんの手作りなのだそうだ。しかも一人暮らしの私が長時間楽しめるようにと、こうして食べきりサイズの瓶詰めを5個も用意してくれていたんだ。 「そうなの。渋皮には強いアクがあるんだけどね、何回も茹でこぼしをして甘い蜜で煮たらこんな感じの甘煮になるし、重曹でアク抜きした渋皮付きの栗を油で揚げて塩を振っても美味しいんだって! 私の家族もチャコ叔母さんも、渋皮煮は知ってたけど渋皮付きの栗を揚げて食べるだなんて初めて聞いて……すっごくビックリしたんだよ」 「そうなんだ……彼氏さん、物知りですごいんだね」  興奮気味で喋る私の内容に、あおくんは目を丸くしながらビックリしている。 「うん! まだお茶菓子食べられるなら、今から緑茶淹れるから一緒にこの渋皮煮を食べない?」
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