Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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 小皿に渋皮煮を一つずつ盛って……あおくんの前に差し出してあげて 「「いただきまーす」」  私達は艶やかな茶色の宝石を口に含んで…… 「「おいひ~!!!!」」  同時に感嘆の声をあげる。 「すごいねー! 栗の香りがしっかりとする!」 「栗きんとんで食べるみたいな甘露煮とは美味しさが違うよね! うわ~美味しいなぁ♪」  感動レベルの美味しさで、渋皮煮をそれなりに知ってきた私まで新しい扉が開いた感覚がする。 「緑茶も合うね♪  はな、ありがとう♡」 「どういたしまして! っていうか、私ってよりは彼氏さんにありがとうだよね! わざわざ作ってくれたんだもん」 「確かにそうだね! 俺の分までお礼言ってね、はな」 「もちろんだよ~」  ご飯と一緒に炊き込んだ黄色い栗も美味しかったけど、渋皮を丁寧に処理した茶色い栗も格別だ。 「あのね、あおくん。さっきあおくんは、自分の事を栗に喩えていたでしょ?」  私は、一つ余った栗を半分に分けながら、さっきあおくんが口にした「栗の喩え」を持ち出してみる。
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