Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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「うん」 「食べにくい渋皮もね、工夫したいでこんな風に美味しく出来るんだよ。  渋みは取り除くけど……この渋皮を上手く活かすからこそ、こうして栗本来の風味を残した甘煮になると思うんだ」 「うん……」 「だからね、ついてていいんだよ。必ずしも、取り除かなきゃ美味しく食べられないってわけじゃないんだもん。私、あおくんの色々を聞いてね……感じたんだ。あおくんの優しさは、その色々を経験してきてるからこそ深みが出てるんだろうなって。辛い部分だって、私が話として聞いて優しく包んであげられたらあおくんはずーっとニコニコしたお顔になれるんじゃないかなって」 「……うん」  私の話に、あおくんは何度も頷いていて…… 「だからね、これからもね……色んなあおくんを教えてね。辛い事や苦しい事は私と半分こして……私と甘くハグして、人生そのものを美味しいものにしていけたら良いなって思うの」  私の手をギュッと、温かくその手で包んできて…… 「ありがとうはな、大好き♡」  目尻に涙を溜めたまま、ニッコリと微笑んでくれたんだ。    
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