Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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* 「ええっ?! はな、知ってたの??  俺が母さんに金振り込んで頭を抱えていたところ、見られてたの?!!」  緑茶も飲み終えたところで、私は思い切って先日あおくんが銀行の入り口で思い詰めた様子でいたという話をしてみた。 「正確にはね、みどりちゃんが見かけたんだよ。みどりちゃん、たまたまあおくんの大学周辺を歩いてて、ATM行く用事があったみたいで」 「ああ……みどりさんか。そっかぁ」 「振り込んだ金額も結構大きかったんだよね? 実は……具体的な金額も、私知ってるっていうか、噂で聞いてて」 「それもみどりさんにバレてるの?!! みどりさん、俺が振り込みの操作してるそばにいたの??」  「金額」の話を持ち出したらあおくん顔色は真っ青に変わる。 「ああ……! 違う違うっ! みどりちゃん、あおくんの振り込み操作を覗いたんじゃないよ! それは別の人の話からっ!! 今、コンビニで私がシフト入れない枠をあおくんと同じ大学の四年生の澤村って人が年末まで担当する事になってて」  私もまた説明が下手くそだから、慌てて言い直したんだけど 「えっ……? 澤村って、澤村?!」  やっぱりバイトの澤村くんはあおくんと顔見知りだったようだ。
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