Chapter10:秋の味覚をご一緒に

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……が、正しいのかどうか私も分からないけど……すごく噂好きであおくんの家族関係をペラペラ喋ってて」 「ああ……じゃあ間違いないよ。アイツ、他人の噂大好きで都合よく盛って拡散するんだ。  ついこの前もゼミの中で俺の貯金が無くなったって噂が広まっててさ、俺よりもまさやんが火消しに動いてくれていたんだよ」  あおくんは重苦しい溜め息をつきながら頭をめちゃくちゃに掻きむしっていたから 「そうだったんだね……」  ワシワシと動く両手を、必死になでなでして宥めてあげた。 「うん、全財産を失ったわけではないんだよ。ほら元々はさ、まさやんと車のディーラー行って車買おうとしてただろ? 母さんに振り込んだ40万は車購入資金として貯めていた分であって、生活出来ないほどにまで困窮してるって意味じゃないんだよ」  私のなでなでで、あおくんは落ち着いてそう話すことが出来たようで 「そうだったんだぁ……生活困ってるわけじゃなかったんだね」  その点は私もホッとする。 「うん。貯金の一部が減ったってだけだから、はなとは今まで通りデート出来るし、来月もゴムのお金をはなに渡せるから」 「ゴムのお金はいいよぅ……ふふふ♪」 「いやいや、彼氏としてのケジメだから。これは」 「まぁ……嬉しいっちゃ嬉しいけどぉ」
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