Chapter11:可愛いジェラシー

10/83
前へ
/693ページ
次へ
「はぁ……はぁ……めちゃくちゃ速く漕いじゃった」  はなにメッセージで予告したよりもだいぶ速い時間で、俺はマンションの駐輪場に辿り着く。 [ついたよー]  自転車のキーロックを済ませた俺は短いメッセージをはなに送り、ウキウキした気分を高めながらエレベーターの中に入った。 (ああ~いつも何気なく乗ってるエレベーターなのに、めちゃくちゃゆっくりに感じるなぁ)  このマンションのエレベーターは一般的なソレとスピードがほぼ変わらない。だけど今ばかりはトロトロとゆっくりしているようだった。 (冬風もエレベーターも、俺とはなのラブラブさに妬いてんじゃないの~? なんてね♪)  まさやんが俺を見たら「ヤバいね蒼」とか「頭沸いてるね~、いい意味で」とか囃し立てるような思考で頭の中をパンパンにし……  ピンポーンと、わざわざインターフォンを鳴らして 「はーい」  扉越しに可愛い彼女の声をかすかに聞きながらドアチェーンやドアロック開錠の幸せな音を耳に伝わらせて全身をゾクゾクと震わせる。    
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加