Chapter11:可愛いジェラシー

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(合鍵使わせたのが初めてだから、緊張してるのかな?)  いつもならこんな事はない。  俺がはなの家へ行って扉を開けてくれる時は満面の笑みで出迎えてくれたし、俺が腕を広げようとしたらギューッてフライング気味のハグをしてくれた。 「確かにね、今日は寒かったよ。チャリ漕いでる間もさぁ、顔に当たる風が冷たいのなんのって」 「12月に入ったもんねぇ……そりゃあ寒いよねぇ」  とは違う様子にこっちまで戸惑ってしまったものの (まぁ……お出迎えが自分の家じゃなくて、彼氏の家だもんなぁ。そりゃあ緊張するだろうし待ち時間退屈で待ちくたびれただろうし)  スン……と腕を下ろして靴を脱ぎ 「いい匂いがするね。お腹すいてきちゃった」  何となく目を合わせられず、背の低いはなのそのまた向こう側に目線を向ける俺。 「メインのおかずは買ってきたお惣菜なんだけど、お味噌汁は作ったんだよ。寒いから豚汁にしてみたの」  するとはなはクルリと背を向いて 「豚汁かぁ~食べるの久しぶりだよ」 「うん、そうかなって思って」  会話を続けながらもパタパタと台所の方へ行ってしまった。  
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